ウェブアーカイブ:第1回HiFサロン(FENICS共催)「学生が現地で遭う被害」

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発表3 話し手:SAYNO!メンバーB「留学先での性被害の事例:②外国人からの被害」

 外国人からの性被害についてお話させて頂きます。私は今、大学生です。私が被害に遭ったのは、アジアのある国に滞在していた時にレイプの直前まで性被害を受けました。私は教育関係のNGOでインターンとして現地で1年間、日本人ひとりで滞在をしていました。高校生の時から国際協力に非常に興味を持っていて、大学でもその分野の勉強をすることが楽しく、休学を決意してこのインターンシップに挑戦しました。実際に私が行った場所は都会ではなく、全体で8万人程の人が住んでいる小さな場所でした。暖かくて可愛らしい現地の人々が大好きでした。

 事件が起きたのは現地に着いて半年が経っていて、現地の方々に対してもある程度の信頼感を感じていた時のことです。その時はハロウィンのシーズンで、友達20人程で集まり、ハロウィンパーティをしていました。私はそこで現地の企業の立ち上げに携わっていて、担当者として働いていました。そのパーティでは、現地の企業で一緒に働いているスタッフであり、信頼を置いていた現地の女性Kも参加していました。パーティでは夜がふけるにつれて参加者も酔いがまわり、家に帰ることになりました。そこで信頼していたKの友達でパーティにも参加していたAという人が、私をバイクで家まで送ると言ってくれました。私の家はパーティ会場から少し離れた場所にあったため、純粋にありがたいと思いました。暗い中ひとりで歩いて帰るよりも、知人の信頼している友達に送ってもらう方が安全だと考えました。その一方で、Aが男性ということもあり、少し心配した部分もありましたが、信頼していたKに「この人は本当に良い人だから大丈夫」というふうに言われて、Aのバイクに乗りました。私の家はとてもわかりやすい場所に位置していて、道を間違えてもすぐにわかるような場所だと思っていました。

 Aのバイクの後部座席に乗って自宅に向かうことを予想していると、バイクは私が普段全く行かないような方向に向かい始めました。私が「どこに向かっているの?こっちの方向じゃないよ」と言っても何も答えてくれなくて、私が今まで行ったことのない薄暗い場所でバイクが止められました。そこで下ろされて急に力づくでキスをされて、レイプをされそうになりました。そこは広い田んぼのようなところで、深夜ということもあり人も全くおらず、家に返して欲しいと私が泣き叫んでも抵抗しても、言うことを聞いてくれない状態でした。小雨も降っていて、暗い中、誰も見つけてくれないだろうと思いました。ほとんど諦め半分という思いでいたところ、その時急に友達のKがたまたま駆けつけてくれました。彼女はメッセンジャーの返信がない私を心配してわざわざ周辺を探してくれていて、たまたま発見してくれたそうです。Kの顔を見て安心感や色んな感情がわき、号泣してしまいました。そんな私をKは助けてくれて、本当にごめんねと謝り続けていました。そうしてKが家に送ってくれたのですが、彼女が私を見つけてくれなかったらと思うと本当に今でもゾッとします。

 被害に遭った後は、私をこんな目に遭わせた相手を罰して欲しいという思いがありながらも、NGOの評判が悪くなったり、現場の関係者の間にヒビが入ったりするのではと思い、現地の警察や周りの人にも相談できない状況が続いていました。そんな中でも、当時日本にいた私のパートナーや団体の直属の上司、現地のホストマザーの方から「あなたは絶対に悪くないから、今は何も考えなくていいよ」というふうに言ってもらえた時にどれだけ救われたか、そうした言葉をかけてくれる人が周りにいたことは私にとって運が良かったのだと思っています。しかしその一方で、話をきちんと聞かずに「途上国で周りを信頼してバイクに乗るお前が馬鹿だろ」みたいなことを言われたこともあって、私の当時の気持ちを踏みにじるようなセカンドレイプを受けたことも覚えています。被害を受けて「自分が悪かったんじゃないか」と考えてしまって、ネガティブになっている心に言われた言葉がナイフのように突き刺さった感覚を覚えました。

 出国前に安全対策については、女性のNGO職員の方から「ナイフなどで脅されそうになったりしたら抵抗しない方がいい」というような話は聞いていました。しかしまさか自分が、と思っていましたし、実際に被害に遭った時の性病検査や妊娠しているかといったことをどのように対処すれば良いのかについては、全く聞いていませんでした。何をすればいいのか、わかりませんでした。

 自分自身の経験から、自分の意思に反する形で性的に搾取されることが、どんなに辛くて悲しいことなのかを知りました。これから海外で頑張ろうとしている、一歩を踏み出そうとしている学生たちに、絶対同じ思いをして欲しくないと思っています。そうして私もSAYNO!のメンバーとして、一緒に活動しています。私も自分が経験したことを実際に声を上げて発信していくことで、次の世代では何か変わるのではないかなと本気で思っています。