体験記を書いてくださる方へ


このたびは、体験記を書こうと思い立ってくださったこと、ありがとうございます。

体験記を通してHiFが目指すもの

共同研究グループ「フィールドワークとハラスメント」(以下、HiF)は、執筆していただいた体験記を通じて、よりよいフィールドワークへ向けた安全対策の模索や思考の契機を提示することを目指しています。身のまわりに先人となるフィールドワーカーがおらず、どのような心構えが必要か分からない人、具体的に起こりうる危険や、それに対してどのような安全対策を取り得るのか、事前に知っておきたい人たちのために、みなさまに執筆していただいた体験記が役立つことを願っています。そして、世代やフィールド、学問分野を超えた様々なフィールドワーカーたちが、この体験記を通じてフィールドワークのあり方について考え、辛い経験をするフィールドワーカーが今後少しでも減ることを目指しています。

お寄せいただいた体験記は、HiFのウェブサイトにて公開・一部公開・非公開のなかから、ご自身で自由に選んでいただくことができます。辛い経験を文字に書くことは大変な労力を伴い、筆が止まってしまうこともあると思います。精神・心理的な負荷を感じた場合は、執筆を中断しても、取り消してもかまいません。なんとか書き終え、送信もしたけれど、やっぱり公開されたくない、と思われた場合や、公開後に取り下げたいと思われた場合には、どの段階であっても、非公開と連絡してくださってかまいません。体験記執筆や公開・非公開の選択は任意であり、中断したり、送信や公開をとりやめても、執筆者の方にいかなる不利益も生じることはありません。HiFにとってこの体験記は、公開することだけが目的ではありません。執筆者であるみなさん自身にとって、もしこの体験記が少しでも気持ちを整理するきっかけとなったり、書くことで経験を過去のものとし、先へ進むきっかけとなってくれれば嬉しいと思っています。

どんな内容?

フィールドにおいて、ハラスメントかもしれないとご自身が感じたことでしたら何でも書いてくださってかまいません。
書きたい思いはあるけれど、どのように書き始めたら(内容を整理したら)いいか分からない、という場合もあるかもしれません。そのような場合には、以下のような内容を参考にしてくださっても良いかもしれません。

  • フィールドワーク中に遭遇した(あるいは遭遇し得た)具体的な危険・ハラスメントとそれらに対する対処
  • 体験から学んだこと(あるいは失ったこと)
  • フィールドワーク実施にあたり事前にした(すべきだった)安全・ハラスメント対策
  • 事前準備や対策に役立つ資料・文献、ウェブサイト、相談先
  • 指導学生などのフィールドワークに同伴する際に気を付けていること
  • 指導学生などをフィールドワークに送り出すことに関して悩んでいること
  • 自身が加害者になっていた可能性についての内省や振り返り
  • 加害者になってしまう怯え・恐れ、加害者にならないために気を付けていること
  • ハラスメントか迷う事例
  • 他のフィールドワーカーまたは教員に投げかけたい疑問・メッセージ
  • 現地で危ない目に遭いそうな・遭った状況や場所に関する情報
  • 危険やハラスメント行為に遭った・遭いそうになった時、機転をきかせてくれた人がいて助かった等のエピソード

なお、HiFが考えるハラスメントについては「私たちが考える、フィールドワークにおけるハラスメント」に記載してあります。ハラスメントかどうか迷う事例でも、ぜひお寄せください。むしろ、そのようなはっきりしない事例からも、ハラスメントについてみなさんといっしょに考えていきたいと思っています。
本ウェブサイトには体験記がいくつかすでに掲載されていますので、こちら(体験記 )もご参照ください。

どうやって書くの?

ご執筆の際には、「体験記を書くにあたって」をご一読ください。
原稿は、メールでfieldworkandsafety[at]gmail.comまでお送りください。
※[at]を@に変えてください。
アンケートに関する問い合わせのメールアドレスとは異なりますので、ご注意ください。

※ HiFからのお願い

フィールドワーカーが現地での経験を「書く」という作業には、フィールドの人々や、調査地全体を過度に一般化してしまうという危険性が伴います。HiFは、自らもフィールドワークを生業とする者たちの集まりとして、特定の調査地域や人々にレッテルを貼ってしまうことを強く危惧しています。そのため、ハラスメントのご経験や加害者については、できるだけ一般化せず、個別具体的な事例として描いていただきますようお願いいたします。もし、ご執筆いただいた内容が、特定の地域や人々のスティグマ化、偏見の助長になりうる可能性を有している場合は、非公開にすることを相談させていただく場合もあります。

お送りいただいた後のプロセス

原稿は、HiFメンバー(詳しくは下記参照)で一つ一つ丁寧に内容を確認させていただきます。そして、公開あるいは一部公開を選択なさった執筆者の方には、個別にご連絡して、公開箇所のご確認や、構成の変更、部分的な改稿などについてご相談させていただきます。このようなやりとりをお願いするのは、何よりも執筆された方ご本人のプライバシーや安全を守るためです。体験記の中で、執筆者や他の登場人物が特定されてしまう恐れがある箇所については、特に慎重にチェックを行い、ご相談させていただきます。

HiFは、体験記を一方向的な受領・掲載のプロセスではなく、できるだけ双方向的な対話のプロセスのなかで進めていきたいと考えています。そのため、ときにはZoomなどのインターネット会議システムを用いた対話をご提案する場合もあります。もちろん、やりとりの方法(Zoom、メール、その他)に関しても、執筆してくださった方の希望を第一にいたします。執筆者のみなさまとのこのような共同作業もまた、フィールドワークにおけるハラスメントについて考えるための大切な作業だと考えておりますので、どうぞ予め、ご理解いただけますと幸いです。なお、HiFとの対話をご希望されない場合は、体験記をお送りいただく際にその旨をお伝えください。その場合は、いただいた原稿は非公開とさせていただきます。

執筆者のみなさんの個人情報と原稿(公開前の原稿、未公開の原稿、一部公開の原稿の非公開部分)を知り得るのは、原稿を送ってくださった時点で在籍しているHiFのメンバー(こちらのページをご参照ください)に限ります。公開していない原稿や情報をそれ以外の人や団体に見せたり内容を漏らしたりはいたしません。

なお、特定のHiFメンバーには未公開の原稿を見てほしくない、やりとりに関わってほしくないなどありましたら、体験記をお送りいただく際に、どうぞ遠慮なくその旨をお伝えください。その際には、そのメンバーを除いたかたちで確認させていただきます。

また、公開後の体験記に関して、その執筆者や関係者のプライバシーが脅かされるような状況が発生した場合には、該当記事をただちに非公開にいたします。