フィールドワークと性暴力・セクシュアルハラスメントに関する実態調査アンケート結果報告書(第一報):調査結果の主なポイント

HiFが2022年に実施した「フィールドワークと性暴力・セクシュアルハラスメントに関する実態調査アンケート」の解析を現在進めておりますが、結果の重要性に鑑みて、近々報告予定の第一報の主要なポイントを一足先に公開します。

HiFは、2022年にフィールドで起こる性暴力の実態把握を目的とした大規模なオンラインアンケートを実施しました。日本国内のほぼすべての学協会に協力を依頼し、総計272の学協会を通じて本アンケートを知った2490名から回答を得ました。2487名の有効回答のうち、1895名 (76.2%) がフィールドワークを行ったことがあると回答し、そのうちさらに290名 (15.3%) がフィールドワークの最中あるいはその前後にフィールドワークに関連する形で何らかの性暴力を受けたことがあると回答しました。また、性暴力を受けた回答者のうちの242名から、352件の性暴力に関する具体的な情報を得ました。最近の10年間(2013–2022年)に起こった性暴力の事例は124件ともっとも多く (性暴力の事例全体の35.2%)、なかには、調査時点 (2022年) の30年以上前に起こった性暴力についての回答もありました。

 

調査結果の主なポイント

  • フィールドワークの最中あるいはその前後にフィールドワークに関連する形で自身が何らかの性暴力を受けたことがあると回答した290名のうち、253名 (87.2%) が女性1自由記述の形で得られた回答者の性自認を、解析の便宜上、【女性】、【男性】、【LGBTQ+】、【答えない】、【不明】の5カテゴリーに区分した。だった。
  • 性暴力の事例において回答者や加害者の年齢階級が判明する264件のうち、上の年齢階級から下の年齢階級への性暴力が205件 (77.7%) を占めた。
  • 性暴力の事例として解析に利用した350件のうち、さまざまな職位のなかで大学院生 (202件) と学部生 (52件) がもっとも性暴力を受けていた (合わせて性暴力の事例全体の72.6%を占める) 。
  • フィールドワーク経験のある1895名の回答者のうち、フィールドワーク実施前に性暴力に関するガイダンスを一度も受けたことがない人は1678名 (88.6%) だった。

 

本調査の選択式の回答とそれらの相互関係を数値的に解析した結果は、近日公開予定です。

 

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    自由記述の形で得られた回答者の性自認を、解析の便宜上、【女性】、【男性】、【LGBTQ+】、【答えない】、【不明】の5カテゴリーに区分した。